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ARCHITECT
「美しい水田の風景をいかに保ちながら、そこに建築を優しく挿入するか」
世界的建築家 坂 茂氏が設計を手掛けた四季折々で表情を変える田園風景と調和するSUIDEN TERRASSE
SUIDEN TERRASSEの設計を手掛けたのは、サスティナビリティを意識した紙管を使った建築や積極的な災害支援活動などで世界的に知られ、建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞した坂 茂氏です。
設計にあたり坂氏が最も重視したのは「美しい水田の風景をいかに保ちながら、そこに建築を優しく挿入するか」ということ。基礎部やコア部分以外は木造構造で田園風景に馴染むよう考えられており、四季折々で表情を変える山形庄 内の田園風景とSUIDEN TERRASSEの建築の調和は唯一無二の風景を作り出しています。
開放的な共用部、ライブラリー、レストラン、温泉・サウナなどそれぞれに特徴がある館内施設、そしてプライベート空間が確保された客室エリアと、至る所に坂氏ならではの建築技術や意匠がふんだんに盛り込まれています。
滞在を通して、坂 茂氏による”田んぼに浮かぶホテル”の建築の魅力を存分に体感してください。
紙管は坂氏の建築を象徴する意匠で、避難所で紙管シェルターとして使うなど被災地支援でも積極的に使われてきました。SUIDEN TERRASSEでは椅子、テーブルの脚、間仕切り、ベッドボードなど共用部や客室など館内の至る所で多用されています。
2階共用部の特徴的なギザギザ屋根は折板構造が採用されています。屋根を蛇腹状に組み合わせることで強度が増し、在来工法で必要になる屋根、母屋、そして小屋梁などの構造が不要になる効果があり、2階共用部は可能な限り柱を排除した大空間を実現しています。
中庭の意匠として使っているのは、2016年に発生した熊本地震で倒壊した家屋の瓦です。被災地では災害廃棄物処理が非常に深刻な課題であるため、その課題解決の一助となるべく坂氏のアイデアで中庭の意匠としました。中庭ごとに異なるデザインをお楽しみいただけます。
2階共用部の大窓に配されている木の筋交いも坂氏ならではの特徴です。木を斜めに組み合わせることで耐震性能を持たせる構造的役割を果たすだけではなく、時間の経過で窓から差し込む光の表情が変わるという共用部の重要なデザイン要素も果たしています。
SHIGERU BAN ARCHITECTS 坂 茂

1957年東京生まれ。77-80年、南カリフォルニア建築大学(SCI-Arc)在学。84年クーパー・ユニオン建築学部(ニューヨーク)を卒業。82-83年、磯崎新アトリエに勤務。85年、坂茂建築設計を設立。
95年から国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)コンサルタント、同時に災害支援活動団体ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク(VAN)設立。主な作品に、「ポンピドー・センター・メス」、「静岡県富士山世界遺産センター」、「大分県立美術館」、「ラ・セーヌ・ミュジカル」、「オメガ・スウォッチ本社」などがある。これまでに、フランス建築アカデミーゴールドメダル(2004)、日本建築学会賞作品部門(2009)、フランス国家功労勲章オフィシエ(2010)、オーギュスト・ペレ賞(2011)、芸術選奨文化部科学大臣賞(2012)、フランス芸術文化勲章コマンドゥール(2014)、プリツカー建築賞(2014)、JIA日本建築大賞(2015)、紫綬褒章(2017)、マザー・テレサ社会正義賞(2017)、アストゥリアス皇太子賞(2022)など受賞。現在New European Bauhausのhigh-level roundtableメンバー。
